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デュエル・マスターズについて語る非公式ファンサイトです。
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デュエル・マスターズ初心者向けを意識した記事を書いています。
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『DM企業戦士 時任俊之助』

第三十二話 時任、飛び立つ


前回までのあらすじ
時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)と百瀬光太郎(ももせこうたろう)による、DM企業戦士最強を決める決勝戦が終わった。時任は優勝し、日本一のDM企業戦士となった。だが、時任は言った。まだ夢には到達していない、と。時任は自分の夢を追って新しい戦いのステージへ飛び立とうとしていた。

「今、召喚した《ビクトリー・アップル》を《大菜王ビッグ・ナスディーン》に進化!《ナスディーン》でシールドを二枚ブレイク!《ダンディ・ナスオ》でとどめッス!」
午後五時以降のDM課は忙しい。時任が大会で優勝してから、年齢を問わず色々なデュエリストが時任に挑戦しに来ているからだ。時任一人だけでは人手が足りないので、熊本(くまもと)や文美(ふみ)も手伝っている。
「《悪魔聖霊アウゼス》でシールドをブレイク!さらに貴様の《ジャガルザー》を墓地に送るぞ」
「くっ、これが日本一を戦い抜いた奴の実力か!」
さらに、時間がある時は百瀬もやってきて挑戦者の相手をしてくれている。もっとも彼の場合は、色々なデュエリストと戦って腕を磨きたいだけかもしれないが。
今日も長い戦いが終わり、時任達が帰る準備を始めたのは七時ごろだった。
「なあ、みんな。俺、大事な話があるから聞いてくれないか?」
時任の真剣な顔に、百瀬、熊本、そして文美は手を休める。
「どうした、時任。お前に真面目な顔は似合わんぞ」
「ほっといてくれよ。……俺、一週間後に会社を辞めるんだ」
それぞれ驚きの表情を出す三人。
「な……何故だ、時任!何故、会社を辞める必要がある!?」
皆が沈黙する中、最初に口を開いたのは百瀬だった。彼も、頭の中が混乱しているようだ。その場で冷静なのは時任だけだった。普段の彼とは違い、非常に落ち着いている。
「俺、デュエル・マスターズをやっていて思ったんだ。俺もこんなおもしろいカードゲームを作りたい、人のハートを熱くさせたいって。だから、俺はカードゲームを作るための勉強をする。金井社長にも話をしてあるんだ。俺が本当におもしろいカードゲームを作れるなら、商品として出してもいいって言ってた」
「おじさんも知っていたんですか……?」
文美の問いに時任は首肯して答える。
「俺は「おもしろい」を研究するために、色々な国のおもしろいものやおもしろい遊びを勉強しに行く。大会で日本一になった時の副賞はそれに使うんだ」
「先輩……。先輩が会社を辞めたら、このDM課はどうなるんスか!?」
「熊本、お前がやってくれ」
時任は熊本の手を握る。時任の強い意志を持った視線に、熊本は息を呑んだ。
「お前が俺の代わりに……いや、俺以上の課長になってくれ。俺がびびるようなDM課を作り上げて欲しい」
「先輩……」
突然の時任の言葉。そして、彼が考えた大きなプロジェクト。これこそが、彼の夢だったのだ。
「時任、デュエル・マスターズもやめるつもりなのか?」
百瀬が時任に向けて、デッキを突きつける。
「デュエル・マスターズをやっていておもしろいと感じたのだろう?これはまだ続けるのだな?」
時任も笑顔でデッキを突きつける。
「当たり前だ!百瀬、お前の挑戦は何度でも受けてやる!」
「いいだろう。ならば、デュエルだ!」
ずっと続くと思っていた変わらない日常。だが、変化は突然訪れた。だが、これでいい。
今までの時任の日常が終わる。それは、古いステージでの演目が終わっただけの事。新しい世界でのカーニバルはここから始まる。

強い衝撃が、時任の全身に走る。飛行機が離陸したのだ。
仲間達に退社の事を打ち明けた日の事を思い出していた。あの後、限りある時間を使って、何度も彼らとデュエルをした。そして、出発の前日、時任の仲間達はひとつのデッキをプレゼントしてくれた。
「時任、お前のために我々が力をあわせて作ったデッキだ。このデッキを使いこなせるようになるまで、そして、何かをつかむまで日本には帰ってくるな。いいな?」
半分泣きそうな顔でデッキを手渡し、すぐにどこかへ去っていった百瀬の姿が非常に印象的だった。
「そうだな……」
デュエルは仲間がいないとできない。遊びも一人ではつまらない。
色々な友達と一緒に楽しさを共有できる。それこそが、時任の考えるデュエル・マスターズの最大の長所なのだ。
「カードだけじゃない。みんながいてくれたから、俺はここまで戦ってこれたんだ」
そして、これからも……。彼らがくれたデッキが時任に無限の力を与えてくれるはずだ。
彼らとの思い出をかみ締めるために時任が再び目を閉じた瞬間、何かが破裂するような音が聞こえた。目を開くと、目だけが開いたマスクで顔を隠した男達が何人か立っている。手に持っているのは、なんとピストルだった。
「げげっ!旅立ちだってのに、いきなりハイジャックかよ!?」
時任が驚いて目を見開くと、赤いマスクをかぶったリーダー格の男が話し始めた。他の男は皆、黒いマスクをしている。
「俺達は、革命派組織『納豆団』だ。この飛行機は俺達がジャックした。言う事を聞かない奴はぶっ殺す!ちなみに、この赤いマスクはリーダーの証!覚えておけ!」
リーダーの男は自分がリーダーである事を強くアピールした。だが、多くの人々にとってそれはどうでもいい事だった。
「このガキ!うるせえぞ!」
赤ん坊が泣いているのを見つけて、黒いマスクの男が銃を突きつける。
「おい、そのガキを黙らせろ!」
赤ん坊の両親は、何とか赤ん坊をなだめようとするが、緊張してうまく行かない。そこへ、リーダー格の男がやってくる。赤ん坊に手がかけられるのかと思い、両親の顔から血の気が引く。
だが、リーダーは信じられない事を言った。
「バカヤロウ!テメェが大声出すから赤ん坊が泣くんだろうが!赤ん坊を黙らせる前にテメェが黙りやがれ!」
「は、はい、リーダー……」
リーダーに一喝されて、黒いマスクの男は黙る。リーダーの演説はまだ続きがあった。
「君達は日本政府と交渉するための人質となってもらう。俺達は日本政府へ法律である事を義務化してもらう。それは「スーパーで売っている納豆に、刻みネギをつける事」だ!納豆にネギは日本人の基本なのに、何故、パックで売っている納豆にはネギが入っていないんだ!これはおかしい!だから俺は間違った日本に革命を起こして、正しい日本に作り変える!」
非常に間抜けな要求である。だが、そのためにこんな事をするのは許されない。怒りに燃える時任は、後先考えずに座席を飛び出していた。
「おい、お前!納豆にネギを入れるのを義務化しろだと!?ふざけるなよ!俺は納豆にネギを入れない派の人間なんだ。大体、納豆にネギを入れたら、納豆の味とネギの辛味がケンカしちまうだろうが!納豆にネギを入れない人間の事も考えないで、何が革命だ!」
「何ぃ……!?お前、命がいらないようだな」
リーダーの言葉と共に、マスク男達の持っていた銃が全て時任に突きつけられた。ようやく危険だという事に気付いた時任だったが、すでに遅すぎる。
「や……やばい。あー、まだ使いたかったカードがたくさんあるのに。《バジュラ》とか、《ゼファー》とか、《バルカゲイザー》とか……」
クリーチャーの名前を聞き、リーダーが反応する。
「ほう……。そう言えばお前は日本一になった時任とかいう奴だな?デュエル・マスターズをする奴に悪い奴はいない」
そう言って、リーダーはポケットからデッキを取り出す。リーダーの言葉に異議を唱えたい時任だったが、何か言ったらその瞬間銃が火を吹くかもしれない。
「デュエルだ。お前が勝ったら、勝利した瞬間に乗客全員を解放しよう。だが、お前が負けたら……そうだな。お前は一生、納豆にはネギを入れてもらう」
「判った……。その条件を受け入れよう」
勝っても負けても、今より悪い状況にはならない。それに、乗客がパニックになる事の方が心配だ。
時任は手持ちのバッグからデッキを取り出す。これは決勝で使おうと思っていたデッキの一つだ。
「行くぜぇ、DM企業戦士。革命派戦士、鮎川時雄(あゆかわときお)様が貴様を革命の糧にしてやる」
テーブルが置かれ、その上に二つのデッキが並ぶ。多くの人を救うため、時任のデュエルが始まった。

次回に続く(何てシチュエーションだ……)

次回予告
文美です。いきなり、ハイジャックに遭うなんて、結構時任さんらしいかも。それにしても、納豆のために何でそこまでするのかしら?自分でネギを刻んで入れたらいいじゃない。時任さん、そんなワガママな奴は懲らしめてやらなくちゃだめですよ!次回『第三十三話 空の上の決戦』 強大な敵、打ち砕け!《ボルガウルジャック》!

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