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デュエル・マスターズについて語る非公式ファンサイトです。
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デュエル・マスターズ初心者向けを意識した記事を書いています。
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『TOKYO決闘記』

私、一ノ瀬博成(いちのせひろなり)は立法学園高校の二年生で、新聞委員会に所属している。『ネオウエーブ』の保持者、金城豪人(かねしろごうと)の連れ、佐倉美和(さくらみわ)と赤城日芽(あかぎひめ)を助けるために赤城勇騎(あかぎゆうき)は監禁場所を割り出した。そこにいたのは、幹部クラスの敵、一本杉(いっぽんすぎ)と二階堂十三階(にかいどうじゅうさんかい)であった。一本杉の部下である水科(みずしな)姉弟を勇騎と豪人は難なく退ける。だが、戦いがこれから激化する事は、鈍い私にもよく判った。
20XX年 一ノ瀬博成

第七話 悪意


音のない深い闇に包まれた夜。勇騎は自室のコンピュータに向かって作業をしていた。人間にはない、特別な能力を持ったデュエリストとの戦闘記録を整理しているのだ。
水科姉弟との戦闘後から、勇騎を狙う敵の数が激増した。その一人一人の能力は低いが、勇騎を疲れさせる事には成功している。
「ゼーロっ、まだ起きてる?」
ノックの音と共に、小動物のようなかわいらしさを持った少女が部屋に入ってくる。日芽だ。
「ノックをしたら返事くらい待て。それにこの時間に眠っている奴など子供くらいのものだ」
普段なら「ゼロ」と呼ばれる事を好まない勇騎だが、彼はそこで一度手を休めて日芽を見た。時刻はまだ八時。眠るには早過ぎる時間だ。
「今までの戦いをメモしてるんでしょ?ねえ、どんな感じ?」
「お前に話した以上の事は書いてない」
そう言うと、勇騎は再びディスプレイに向かって作業を再開した。戦闘データの整理は終わったらしく、ネットを使って情報を仕入れていた。
「ねえ、ゼロ。博成君に保持者の戦いの事、教えてあげなくていいの?」
「必要ない」
勇騎は素っ気無く答える。だが、その後に言葉が続いた。
「俺が真相を伝える事は簡単だ。だが、それは真実に辿り着く事から外れる。奴はそんな事では満足しないだろう」
「難しいな~。ゼロの言う事は、よく判らないよ」
日芽はうーん、と唸りながら首をひねる。それとほぼ同時に、忙しく動いていた勇騎の手が止まった。
「ほう……これは興味深い」
「何々!?おもしろいものでもあったの?へぇ~、これって……」

「怪盗!?」
立法高校の食堂はある意味で今日も平和だ。いや、非常に混んでいて、四時限目の授業の終わりが遅かった生徒が席の確保に四苦八苦している点をどう評価するかでこの状況を惨劇と呼ぶか平和と呼ぶかが分かれるだろう。
そんな席の取り合いに勝利した一ノ瀬博成は、同じように新聞委員会に所属する一年生、朝野正樹(あさのまさき)と情報の交換をしていたのだ。
「そうです、先輩。今、世間を騒がせている怪盗アルケー。その人物が仕事を終えた後には、香水のようにいい香りの水が犯行現場に撒かれているらしいんです」
「香水みたいな水か……」
それを聞いた博成は、いい香りになるのは悪くないが、床が水浸しになるのは嫌だ、と感じた。
「朝野君、何だか楽しそうだね」
「判りますか、一ノ瀬先輩。怪盗は古き良き浪漫の産物!この日本に僕の理想が判る同士がいたとは!」
博成は、朝野の眼鏡が恐ろしい光を発している事に気付いた。人の趣味というのは、判らないものだ。
「ふぅ~ん、怪盗の話なんかして盛り上がっちゃってるんだ。じゃ、朝野ちゃんはそれで記事を書いてよね!」
朝野の後ろから女性の高い声が聞こえる。そこにいたのは、彼らのよく知った人物だった。
「青海(おうみ)委員長!」
博成と朝野の声が意味もなく重なる。日替わり定食を載せたトレーを持っていたその少女は、青海ゆかり。博成と同じ学年で、新聞委員会の委員長を務めている。
こげ茶色のショートヘアで、活発そうな目をした活動的な少女だ。外見に違わず非常に活動的で、代々曲者揃いと言われている新聞委員会をうまくまとめている。
「朝野ちゃんのキーワードは『古き良き』。いい言葉だけど、そればっか言ってると、委員会では『おっさん』ってあだ名にしちゃうわよ」
「ほっといて下さい。それより、委員長も昼食ですか?」
「そういう事。だから、朝野ちゃん、ちょっとどいててくれる?」
言うが早いか、ゆかりはもうトレーを置いてしまった。食べ終わった朝野は渋々立ち上がる。
「じゃ、僕もそろそろお暇(いとま)しようかな。お昼食べようとしている人達に悪いし」
だが、立ち上がろうとした博成の腕をゆかりがつかむ。
「ちょい待ち、一ノ瀬ちゃん。アタシはあなたに用が合ってここに来たの」
「え?僕に?」
博成は、再び席に着く。
「そう、僕に。一ノ瀬ちゃんって、東京連続失踪事件調べてたでしょ?あれって、どうなったのかな~?」
「ああ、あれね。僕じゃ、やっぱり何も判らなかったよ」
もちろん、嘘だ。新聞委員会のメンバーをこの事件に巻き込ませないためには、嘘をついて事件から手を引かせる必要がある。
そう考えてから発した言葉だったが、ゆかりは疑った目で博成を見る。
「ふーん、嘘つき」
「何で、嘘なのさ!」
「一ノ瀬ちゃんが頼まれた調査を失敗した時はもっと申し訳なさそうに言うもの。胃に穴が開きそうなサラリーマンみたいに」
「い!?」
自分の演技力のなさに呆れ、そして、博成は思わず妙な声を出す。すると、ゆかりはくすくすと笑った。
「あはは、今のは嘘。ちょっと鎌かけてみただけ。やっぱり、何か判ってるんだね?」
しまった、と博成は感じる。この辺りの発想力と頭の回転では、博成はゆかりにかなわない。
「オッケーオッケー。まだまだ言いたくない事があるみたいだから、何も聞かないでいてあげる。お姉さんは、真面目にがんばる人には優しいのだ」
「誰がお姉さんだよ。同級生じゃないか」
「精神的なものを言ってるの。この事件に関するおもしろい情報があったら教えてね。学校新聞史上最大の事件を書くのは君だ!」
「はいはい」
ゆかりのテンションに合わせていては、博成が疲れてしまう。だが、同じメンバーとして彼女から見習うべきところは多い。味方にして正解だと博成は思うのだった。

十一月も終わりに近づいている。早くもクリスマスムードに染まっている街を歩く一人の静かな人影があった。すりきれたジーンズに茶色のジャケットを着た少年、ヴェルデ。特に何をするでもなく、街を歩いていた。
ふと、ファミリーレストランの前で立ち止まる。何の意味もない。ただ、暇そうな大学生のグループがくだらない雑談をしているが見えただけだ。
「仲間……」
そんな言葉が無意識の内に口から出る。彼自身も、言語を発した事に気付いていない。
「何そんなとこでぼーっとしてるんだい?警察呼ぶよ?」
軽い声を聞いたヴェルデが後ろを向くと、そこには白いスーツを着た男が立っていた。金城豪人だ。
「お前、保持者だな?」
「やっぱりそれくらい判るよね。当たり前か。まあいいや。腹が空いているなら一緒に入ろう。食事くらい奢ってやってもいいよ」
ヴェルデは奢られる理由などなかったが、何も聞かずに豪人が中へ入ってしまったので後に続いた。時間が四時を過ぎたばかりなので、ところどころ席は開いていた。
「連れが来るまでちょっと暇なんでね。僕ら以外の保持者に関する情報交換でもしようかな、とか思って」
「俺がお前に話す事は何もない」
「そうか……。君は『エクスプロード』の保持者に会わなかったかな?」
質問をする豪人の声色が変わり、ヴェルデがその言葉に反応する。
「あの研究所での最悪の失敗作。もしも、奴が五つのデッキを手に入れたら大変な事になる。それくらいは判るだろう?」
「当たり前だ。保持者でそれを知らない奴はいない」
「だからこそ、聞きたい。君は『エクスプロード』の保持者には会わなかったか、と」
ヴェルデの脳裏に、先日の記憶が蘇る。地獄から聞こえるような笑い声。そして、恐ろしい風貌。
ちょっとしたヴェルデの反応の変化で、豪人は彼らが会った事を察した。丁度そのタイミングで、ヴェルデが注文したステーキランチと豪人が注文したコーヒーが来る。
「奴は、『プロミネンス』の保持者を狙っていた」
「それだけ話してくれれば充分だ。ちょっと厄介な事になったな」
豪人は勇騎の性格を気に入っている。それに、先日は美和を助けるのに手を貸してもらった。だからこそ、少しは手助けをしたいと思っているのだ。
豪人がゆっくり考えている間にヴェルデが口を開く。
「『エクスプロード』の保持者は何者だ?最悪の存在だという事は判る。だが、『プロミネンス』の保持者を狙う理由が判らん」
「ああ、それは判らないのも仕方がない」
ヴェルデの質問を聞いた豪人は、そこで一旦話を中断してコーヒーに口をつけた。
「僕も詳しくは知らないけどね、彼らは同じ実験施設で、同じ目的のために創られた兄弟らしいんだよ」

「さて……」
五時近くになると、空も暗くなっている。夜に近づこうとしているこの時間に、勇騎は上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)にいた。この付近の美術展が今日終わる。怪盗アルケーが盗みを働くとしたら、この美術展をターゲットにする可能性が高い。
勇騎は、怪盗アルケーが何らかの形で自分達に関わってくると本能的に感じた。だから、待ち伏せているのだ。
ふと、勇騎は背後から殺気の塊が近づいているのを感じた。それはただの殺気ではない。悪意。純粋な悪意で自分を焚きつけた者の殺意だった。
危険を感じた勇騎が振り向いた瞬間、彼の顔面を素早い蹴りが襲う。だが、勇騎は微動だにせずこの蹴りを両腕で受け止めた。
「さすがだなァ、ゼロ号。これで倒れるような奴は保持者じゃねェもんなァ!」
独特のしゃべり方。包帯まみれの体。自分によく似た顔。
「お前から姿を見せるとはな……。あの時の事、忘れたとは言わせない!」
いつもの自分にはない熱い感情が勇騎の中で暴れていた。その感情の名は怒り。目の前のいる保持者、墨川一夜(すみかわかずや)に対する激しい怒りだ。
「いいぜェ……。その反応……、俺を忘れてねェって事だもんなァ……。じゃあ、これも覚えているよなァ?」
一夜は顔を右半分を隠している赤い前髪をはらう。すると、その下からは白い包帯が見える。その包帯も顔の右半分を隠していた。包帯の白さが痛々しい。
「お前とやりあったせいでこんなになっちまった……。あの研究所での事、忘れた事は一度もねェよなァ、兄弟?」
「俺を……兄弟などと呼ぶな」
「そうか。ならば、ゼロ号でいいよなァ?」
「貴様!」
勇騎が『プロミネンス』を取り出すと、彼の怒りに呼応するようにそのデッキが赤く輝く。それを見ていた一夜もそれに応える。
「くくく……けーけっけっけ!いいぜ!いいぜいいぜいいぜェェ!!俺を殺せよ。俺がお前を殺すからよォ!この世界じゃ死んだ奴が失敗作だ。せいぜい、がんばれよ。いい声でわめけェ!」
そして、一夜の悪意に反応するように彼が取り出したデッキ『エクスプロード』も黒く輝いた。

第七話 終

第八話予告
一触即発状態の勇騎と一夜。そこに現れる二階堂の部下達。一方、博成は豪人から様々な過去を聞く。
「これが、保持者と五つの選ばれたデッキの裏話って奴かな?」
語られる過去。そして、博成は自分が後戻りできないところまで来た事に気付く。
第八話 過去

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